夢の中 
 

柔らかな朝日がカーテンの隙間から射し込んでいた。

僕はまだ半分も目覚めてはいない微睡みの中にいた。
僕は、今年21歳になる大学3年生だ。
寝ているベットの上の天井を見上げて微笑んだ。
そこにはおよそ大学生には、相応しくない物がぶら下がっていたのだ。
軽やかな音を奏でながら、赤やピンク、黄色やスカイブルーのカラーで色とりどりな動物や乗り物が廻っていた。
それは、赤ちゃんのいる家庭ならほとんどあるだろうサークルメリーだった。
大学生の部屋に、何故サークルメリーが…。もう少しこの部屋をよく見てみよう。
そうだ❗ まだ名前も言ってなかった。
僕は、桂木  貴志。ごく普通の大学生? 家族は、母と二人暮らし。父親は、8年前に他界。
父親が資産家だったようで、生活に困ることはなかった。
さて、僕の部屋の様子に戻ってみよう。
僕の寝ているベット。周囲に柵がぐるっと囲んでいる。一辺の柵は止め金を外すと下に折り返すことができるようになっている。
そうベビーベットなのだ❗ 但し大学生の僕の身長にあわせてあるので、凄く大きなベビーベットなのだ。
ベビーベットに寝ている僕の周りには、右側にスヌーピー、左側にはキティちゃんのぬいぐるみが置かれていた。
部屋の壁はクリーム色の壁紙が張られ、床は緑の芝生を思わせる鮮やかなグリーンの絨毯が敷かれていた。
ベビーベットの反対側にはベビータンスが置かれていた。白色のタンスで4段の引き出しの真ん中に
それぞれキリン、くま、ウサギ、りす、などの可愛らしい絵が書かれている。
ベビーベットの中で寝ている貴志は、キティちゃん柄のベビー布団に包まれて、いまだに微睡んでいる。
ベビー布団の中を覗いて見ると、クリーム色のスヌーピー柄の T シャツにパステルカラーの黄色のロンパース、
胸にはレースに縁取られたスヌーピー柄のブルーのよだれ掛け、下腹部前面に扇形に9個のホックが並び、
たっぷりのおむつが当てられて下腹部は異様に膨らみ、両足はおむつのために閉じることが出来ず O脚に開いたままだった。
大きささえ問わなければ、貴志の格好はどこからか見ても、可愛らしい赤ちゃんそのままだった。
貴志は夢の中にいた。
自分が大きな赤ちゃんになった頃の事を夢に見ていた。
貴志は、小さい頃からおむつカバーに大変な興味を持っていた。
何故なのかは自分でもよく判らなかった。
公園等に遊びに行って、赤ちゃんを連れて来ているお母さんがいると、自分から近づいて行って、赤ちゃんをあやしたりしていた。
赤ちゃんのおむつ替えの場面に遭遇すると、じっと動かずに眺めていた。
中学の二年生の時、赤ちゃんだけじゃなく大人もおむつをすることがあることを知った時、自分もおむつを当ててみたいと思った。
赤ちゃんのように母親におむつを当ててもらい、赤ちゃんになりたいと思うようになっていた。
貴志は、中学3年生の時お小遣いを貯めて、マニア向けに販売しているおむつカバーSHOPから、おむつカバーを
買った。動物柄で色は黄色、裏地はビニールでとても可愛らしくて、赤ちゃんが当てられているおむつカバーと、同じように見えた。
大きさだけはとても大きかったけどね。
布おむつもベビー用品量販店で、お母さんに頼まれたと言って、10枚一組のドビー織りの布おむつも揃えた。
貴志は、おむつカバーと布おむつが揃った日の夜、さっそく当ててみた。
柔らかく優しい布おむつの感触、おむつカバーで包み両サイドのホックを留める時の以外と大きな音に、顔を赤らめた。
母に内緒で、毎晩のようにおむつを当てて寝るようになった。
貴志は、無駄遣いをせずにお小遣いを貯めていた。
パソコンで検索したベビーグッズのサイトを見ると、欲しい物がたくさんあった。
お小遣いが少し貯まった時に、布おむつを買ったベビー用品量販店で、キティちゃん柄のよだれ掛けと
おしゃぶりと、おしゃぶりを止めておけるおしゃぶりホルダーを買った。
その夜、おむつを当て首からよだれ掛けをしておしゃぶりホルダーに止めたおしゃぶりを口にくわえると、
本当の赤ちゃんになった気分に浸りながら、寝ることができた。
ある日の夜、いつものようにおむつを当てようとして気がついた。
本当の赤ちゃんには、どこにも毛が生えてない。
貴志は体毛が、友達と比べても薄い方だけど、それでも股間や脇の下には生えて来ている。
貴志は思った。赤ちゃんになりたいなら体毛があるのは、おかしい❗
次の日の夜、貴志は入浴の際 T字カミソリで、陰毛と脇の下の毛をツルツルに剃ってしまった。
ツルツルになったオチンチンは、エンピツオチンチンで赤ちゃんのオチンチンになっていた。
そんなある日の夜、赤ちゃんになったまま朝まで寝てしまった。
日曜日の朝だった。
「貴志、そろそろもう起きなさい。日曜日だからって、いつまでも寝ていてはダメよ。」
そう言いながら、母が貴志の部屋に入ってきた。
貴志は、「はぁ~い」と、返事をしながら起きようとした時、下半身を包んでいるおむつの感触に気がついた。
おむつを当てた姿で母の前で起きる訳にはいかない。
「お母さん、もうちょっと…。」
「何がもうちょっとよ。もう起きなさい。」
と、言いながら母が貴志の掛け布団を勢いよく捲ってしまった。
当然、母の目の前に貴志の格好が、さらけ出されてしまった。
「えっ……。ええっ……。」
母は、絶句して貴志の異様な姿を見つめていた。
それもそうだろう。中学 3 年生にもなる息子の格好は、下半身は可愛らしい動物柄のおむつカバーに包まれて大きく膨らんで、
両足も閉じることが出来ずに拡がったままだった。さらに上半身の T シャツの胸には、よだれ掛けまでしていたのだから。
「やだ。貴志。貴方なんでおむつなんかしているの?」
貴志は、答えることが出来ず顔を両手で隠したままだった。
母は、なんとか貴志に理由を聞こうとしたが、貴志は幼児が駄々をこねるようにしていたが、そのうちに泣き出してしまった。
「泣いてるだけじゃあ、解らないわよ。お母さんにちゃんと教えてちょうだい。」
母は、優しく貴志の頭を撫でながら言った。
貴志は、公園での赤ちゃんと母親の様子を見て、自分も赤ちゃんのように母親に甘えてみたいと思ったこと。
赤ちゃんのおむつ替えを見ながら、自分もおむつをすれば赤ちゃんに成れるかも… と、思ったこと。
お小遣いを貯めて、おむつカバーや布おむつ、よだれ掛けも買ったことを、正直に告白していた。
「そうだったんだ。貴志は赤ちゃんになってお母さんに甘えたかったのね?
それで赤ちゃんのようにおむつしているのね。」
「うん……。」
貴志は、母に布団を捲られておむつ姿を見られた時、ビックリして思わずおむつにオシッコを、お洩らししていた。
母には知られていないと思っていたが、部屋の中に僅かながら漂う尿臭に、母は気づいていた。
貴志にとって初めてのおむつへのお洩らしが、母の目の前でのお洩らしだった。
「貴ちゃん、おむつ濡れているんじゃないの?」
「えっ……。」
貴志は、顔を赤らめた。白状したも同然だった。
「赤ちゃんみたいにお洩らししちゃったんでしょ? ちょっと匂うわよ。」
貴志は、答えることも出来ず真っ赤になっていた。
母は、そんな貴志を見つめながら思った。
“うふふ。可愛いわね。貴志が赤ちゃんになりたいのなら、赤ちゃんにしてあげてもいいかな……。”
そう思いながら母は言った。
「貴ちゃん、おむつ取り替えてあげるわ。取り替え用のおむつは、どこにあるの?」
「取り替え用のおむつなんかないよ。今しているのだけしかないよ。」
「そうなの…。困ったわね。じゃあ、朝ごはん食べたら、一緒におむつ買いに行きましょう。」
母は、そう言いながら貴志にシャワーを浴びて、朝ごはんを食べるように言うと、濡れたおむつを持って部屋を出て行った。
貴志が朝食を食べている間に、母は洗濯したおむつをベランダに、干してしから、貴志に言った。
「貴志、出掛けるわよ。」
貴志は急いで助手席に乗った。
先ずはベビー用品量販店に向かった。
店内に入ると、カラフルな赤ちゃん用品で一杯だった。
しかし、貴志に合うベビー用品なんかは当然ながら置いてはいない。
布おむつなら反物で、貴志にあわせて作るので、2反と縫製済の1組、可愛い動物柄がプリントされた物を買って車に戻った。
車の中で母は、貴志に言った。
「困ったわね。貴方に合うおむつカバーやベビー用品は、どこにあるのかしら…。貴方が買ったおむつカバーは、どこで買ったの?」
「あれは通販だよ。」
「そうなの…。じゃあ、すぐには届かないわね。」
「でも、その通販のお店は店頭販売もしているらしいよ。」
「じゃあ、そのお店に行きましょ。貴志は、場所わかるかな?」
スマホでそのお店の電話番号を調べ、お店に行きたいことをいうと、神奈川県の某駅まで来たら、また電話下さいと言われた。
車のナビゲーションで、神奈川県の某駅までは 40 分ぐらいだった。
駅前で再び電話をすると、場所を教えてくれた。歩いて 5 分ぐらいの距離なので駅前近くの駐車場に車をいれ、
二人は歩いてそのお店に向かった。そのお店は、雑居ビルの 3 階にあった。10 坪の店内には、ベビー用品がところ狭しと並び、
その種類やカラフルさに二人はビックリしていた。但し、おむつカバーやよだれ掛けなどの大きさは、ベビー用に比べると
異様に大きかった。
奥から女定員が、「いらっしゃいませ。」と声を掛けてきた。
「先ほど電話した者なんですけど。」
「どうぞ、ごゆっくりお選び下さい。」
「この子に合うサイズはあります?」
「僕が赤ちゃんになるのね。甘えん坊さんなのね。でも、本当のお母さんに大きくなっても赤ちゃんのように、
おむつを当てて貰えるなんて、最高の赤ちゃんプレイよ。」
貴志は、そう言われると真っ赤になってしまった。
そのお店で、おむつカバー 2枚とロンパースを 1着、三色水玉模様の昔風の布おむつを買った。さらに、
よだれ掛けとベビー帽子やおむつカバーの上に履くオーバーパンツまで揃えて買った。
お店では、生地見本からオーダーも出来たので、おむつカバーとロンパースを 1 枚づつ頼み、送って貰うことにした。
こうして貴志は、再び赤ちゃんのように母親に甘えることができた。
中学 3 年生の大きな赤ん坊の誕生だった。
その日から貴志のおむつは外れることはなかった。
家の中ではいつも赤ちゃんの格好をしていた。
ベビー帽子を被り、おしゃぶりを加え、たくさんの布おむつを可愛らしいおむつカバーで包み、
ロンパースを着て、よだれ掛けを胸に当てていた。
たくさん当てた布おむつのせいで、股間を閉じることが出来ず、赤ちゃんのようにヨチヨチ歩きで、
母の側まで来ると貴志は、母の袖を引っ張った。
母は、微笑みながら振り返ると貴志の手を引いて、部屋に入り仰向けに寝かせると、股間の隙間からおむつカバーの中に
指を滑り込ませると、おむつの濡れているのを確かめた。貴志が母の袖を引っ張るのは、お漏らしした合図だった。
「貴ちゃん、ちっち出たの?ぐっしょりよ。おむつ取り替えましょうね。」
母は、貴志のおむつを開きながら言った。
貴志は、夢の中から目覚めてきた。
「貴ちゃん、おむつ、ぐっしょりよ。取り替えましょうね。」
と、言いながら貴志の頬を、つんつんと突く感触で目を開けると、そこには妻の由紀子の微笑みを浮かべた優しい顔があった。
                                         おわり